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August 26, 2004

高木孝『地下水脈』栞文を執筆

高木孝さんの第一歌集『地下水脈』が北冬舎より刊行された。午後、北冬舎から見本が届く。栞文として「差異はつか」400字×6枚を執筆。諸処で言及している短歌の「自己像」をめぐる問題は、ちょうどこの歌集のゲラを読んでいるとき(今年の三月頃だったか)に考えを整理していたので、おのずとそのことが反映されている。歴史的な文体と今風な文体が快く同居した一冊である。

 差異はつかなれど一滴づつ落ちる雨のよろこび全身に受く/高木孝
 お互ひを見知らぬ他者にする儀式ともしび消して触れ合はむとす
 とても、ね、とても静かな、本当は冬木の中にひとりぼつちで
 次期課長候補なりしが希望してあの世へ人事異動ありけり

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Comments

高木孝です。
失礼します。

このたびの第1歌集では、シャープな栞文を賜りました。
改めて御礼申し上げます。

過日の石川美南さんの批評会はおもしろかったですし、その批評会のメモやそれをめぐってのコメントを読んでいろいろ思いましたけど、もう少し全体性という視点からの批評があってもよいかなって、フラット志向がなぜ田中庸介さんが指摘されたような弱点をはらんでしまうのか、というと私の考えでは、全体性を夢見る力が弱いからだということになるのでして、それは一首一首の出来不出来ではなく、ついでながら私はあまり一首の出来不出来に関心がないのですが、総体(歌集)においてくきやかに表現されるべき何かへの熱烈な指向性でして、その刻印があれば、一首の出来不出来はさして問題にならないと考えているのです。

それにしてもネット上での書き方って難しい。それが難儀でつい書き込みとか億劫になります。もう少し慣れてみなくてはいけませんね。

ありがとうございました。

Posted by: 高木孝 | September 08, 2004 at 07:06 PM

高木孝さん、コメントありがとうございました。
全体性というのは、全体文学、の全体性ですね。
現在の短歌には、おっしゃるように、全体性、
つまり、全世界のフレームの提示、という志向は、
きわめて薄いものが多いように思います。
むしろ全世界というレベルでの把握の困難をベースに、
手の届く範囲がどこであるのかを描くような、
そうした方法でのリアルの追求が多いですよね。
世界の全体は見えない/見えにくい、というのは、
われわれの、数少ない共有認識の一つですが、
それを前提としない「全体性を夢見る力」が、
もっと求められて良いのかも知れません。
「総体(歌集)」での「何かへの熱烈な指向性」という視点は、
歌集を考える上でとても大切なものだとぼくも思っています。
またいろいろ教えて下さい。

Posted by: 荻原裕幸 | September 10, 2004 at 01:55 AM

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