2005年5月15日(日)
きのう、高木孝さんの第一歌集『地下水脈』の批評会で上京。参加者は30名ほどだったかと思う。田中槐さんの司会で、快く話のできる会だった。ぼく自身は栞文の範囲を超えない意見しか出せなかったが、この歌集の過剰な多様さにとまどいをおぼえる人が多かったようだ。編集的な見地からするとどうかという質問を田中さんからふられて、一冊のテーマかコンセプトをもう少し見えやすくするように勧めると答えたところ、実際の編集者の柳下和久さんも同じことを勧めたと言っていた。高木さんがそれを拒んだというのは、明確な考えに基づいてのことだとは思うが、多少計算違いがあったんじゃないかと感じたのは、高木さん自身がオペラではなく交響曲のようにまとめたかった、と言っていた点である。凡庸な筋書き/フレームをあえて利用した方が、読者は交響曲を聴くように、意味にこだわらずにすらすら読んでくれるものではないだろうか。筋書きやフレームを見せないようにすると、読者はかえってそこにこだわり、迷宮的状態に陥りやすい。音楽では意味が邪魔になるかも知れないが、文字表現での意味は、それが凡庸であればあるほど意味をなさず、むしろすらすら読める気がする。深夜、帰名。日帰りでの東京はなかなかきついものがある。きょうもまた仕事をしながら疲れをとるという事態になった。
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