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September 23, 2007

2007年9月23日(日)

秋分の日。だというのに、昼はずっと冷房のなか。

 東海の小島の磯の白砂に
 われ泣きぬれて
 蟹とたはむる/石川啄木

歌集『一握の砂』(明治四三年/一九一〇年)の巻頭歌である。引用はルビを省略してある。この一首をめぐって気になるのは、解釈や鑑賞において、しばしば「泣きぬれて」の理由や背景が、主題だとして取り扱われることである。むろん啄木の状況をたどれば、この時期になぜ「泣きぬれて」となるのか、推察することが困難だとは思わない。ただ、この一首からは「泣きぬれて」の理由を察して欲しいという気配が感じられないのだ。「東海の小島」は、東海の君子国を少し自虐的に言いあらわした表現のようだが、地図的に俯瞰した視線で、こんなにも広い世界の、かたすみの海辺で、理由はともかくも泣きぬれて、蟹と遊んでいる「われ」の提示だと読めば、この一首の放っているニヒリズムやナルシシズムの大半は感得できるし、時代のなかへもどして読むにしても、さしあたってそれ以上にしてしまわないところに、啄木へのきちんとした入口があるようにも思う。

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