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February 17, 2008

2008年2月17日(日)

早朝、外に出ると、あたりにうっすらと雪のなごりがあった。

 世にかたき椎名林檎という林檎/二村典子

第一句集『窓間』(二〇〇一年)に収録された一句。椎名林檎という人物名から林檎ということばが引き出されたのではなく、掌上あるいは俎上の林檎から椎名林檎を連想したと感じさせるところに、この句の味わいが出ているように思う。「世に」は文脈上は「世にも」の意味になるのだろうが、場面として読むと「世には」の意味へも広がってゆく。この句には季語がないと指摘されたことがあるようだが、握るとか切るとか剥くという行為が背景にたちあがるからには、結句の林檎は、冬をそこはかとなく含んだ晩秋のあの林檎、季語としての林檎、だと認識してもいいのではないのだろうか。以下、同句集の「春」の章から。

 紙袋二つ重ねに春運ぶ/二村典子
 ハンガーと遠い横顔窓二月
 菜種梅雨針に残りし糸とりどり
 傘の上に傘さしかける花の雨
 鳥交る歯磨き臭き息を吐き

いずれも風景と言うよりは情景である。人の輪郭は軽く消してあるが、はっきりとした存在感が滲んでいる。どこか邦画を思わせるような印象であり、情景の情が濁りのない深さを見せていて快い。この句集の特徴の一つだと思う。

きょうの一首。先日、わ、なんか重大な場面ではないか、と思いながら、うわべは無関心無表情をよそおう、という日本人的反応をしてしまった。

 隣席でひとつの鍵が返されてゐるのを見るともなく見て二月/荻原裕幸

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Comments

ご無沙汰しています。
当方、ブログ閉鎖、ミクシィ退会、でも、蟄居するというのではなく、より俳句に埋没してゆきたい思いです。
二村典子さんという方、検索してみましたが分かりませんでした。この句集を読んでみたいものです。若い方なのでしょうか?

Posted by: 花森こま | February 20, 2008 at 12:54 PM

花森こまさん、ご無沙汰しています。
コメントどうもありがとうございました。

引用句がいつ頃の作品かはわかりませんが、
二村典子さんは、俳句歴二十年を超えています。
句集は、北溟社の新鋭俳人シリーズのものです。
出版社名や作者名や書名で検索できるはずですが、
現在入手が可能かどうかはちょっとわからないです。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

Posted by: 荻原裕幸 | February 20, 2008 at 01:49 PM

句集の件でお骨折りくださり、ありがとうございます。著者の方からメールを戴きました。大変嬉しいです。
土日はひさしぶりに東京に行きます。
本格復帰ということです。

Posted by: 花森こま | February 22, 2008 at 03:44 AM

花森こまさん、こんにちは。
句集の件、連絡とれてよかったですね。
本格復帰とのこと、諸活動楽しみにしています。

Posted by: 荻原裕幸 | February 25, 2008 at 11:35 AM

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