2008年2月29日(金)
閏日。暦が帳尻をあわせているだけのことなのだが、四年生きるともれなく一日おまけが付いて来る、と思うことにした。大晦日や年度末や節分と並んで、一応一年の区切りの日でもある。午後、栄のスカイルへ。朝日カルチャーセンター「はじめての短歌」。きょうの出席者は18人。詠草は19首。題は「流」。いつものように読解と添削的な講評を進める。いつものように延長となる。
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故郷近くなりて潰せるビール缶の麒麟のまなこ海を見るべし/島田幸典
第一歌集『no news』(二〇〇二年)に収録された一首。帰省の列車が故郷に近づいた頃、飲み終えた缶ビールのアルミ缶を握り潰して、さて、と、故郷に対峙するために何かきもちの整理をしているところなのだろう。その経緯や詳細はわからない、と言うか、経緯や詳細はここでは問題にされていない。風景の描写として引き出されたキリンビールのキリンを麒麟に転じたことで、そこに矜恃や自己愛をないまぜにしたような意識の流れが重なって浮かびあがる。「海を見るべし」は、故郷の海がそろそろ視界に入って来るといった風景の流れであると同時に、故郷との戦闘的なモードに入る一人の青年の姿を感じさせる。青々としていて佳い歌だと思う。
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きょうの一首。きょうの講座で見せた題詠「流」の作例。実際にいままでで一度だけもらったことがある。社会的にどうなのかはともかく、旧暦というのでもない、私的な時間の流れが存在しているのは、何か楽しい。
ゆつくりと濃く流れゆく春をもつひとから届く二月の賀状/荻原裕幸
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