« 2008年4月21日(月) | Main | 2008年4月23日(水) »

April 22, 2008

2008年4月22日(火)

午後、栄の愛知芸術文化センターへ。定例の読書会。参加者は八人。テキストは吉川宏志『風景と実感』(青磁社)。「実感」「風景」という、論の中心となる語の意味するところにわかりにくさを感じたメンバーが多かったので、そのあたりを中心に話が進んで行った。今回、『風景と実感』を再読して気づいたのは、吉川さんが、短歌史の流れ、といった、短歌評論の定番的フレームをやや逸れて、もう少し普遍的に短歌のしくみを掴もうとする姿勢だった。たとえば、時折古典の引用が出るたび、近代以前と以後をほぼ同じ扱いで語り進める理由が見えなかったのだが、普遍的に何かを掴もうとしているのであれば、それも自然なことで、なんとなくこの本の入口が見えはじめた気がした。

 夕焼けがやけどの痕にしみてくる頑張るからね頑張るからね/田丸まひる

第一歌集『晴れのち神様』(二〇〇四年)に収録された一首。「頑張るからね」は親しい誰かに向けての口調で、実際に語りかけるのだとしたら「頑張るからね、応援してね」までを含意するはずだが、ここでは「応援してね」を打ち消すかのように「頑張るからね」を繰り返している。誰かに語りかけていると言うよりも、内的独白として、自分自身に言い聞かせている感触が生じているようだ。一人称が何を頑張ろうとしているのかさだかではないが、頑張る内容よりも、無援の状態のなかで、ひたむきに何かに向かう瞬間がそこだけ切り抜かれて、読者に提示されている。上句の、精神の痛みと身体の痛みを融合するようなレトリックが、下句の繰り返しに切実感や哀切感を巧く宿らせているように思う。

きょうの一首。連日の暑さのなかで。

 白洋舎、白屋、白ばら、白洗舎、白井せんたく、夏が近づく/荻原裕幸

|

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40919/40984501

Listed below are links to weblogs that reference 2008年4月22日(火):

Comments

Post a comment