2008年5月13日(火)
結社誌「未来」5月号の短歌時評「本格的よ、本格的」を読む。筆者の黒瀬珂瀾さんが「ユリイカ」4月号の「詩のことば」の特集について言及していた。同誌にぼくが書いた文章にも触れて、黒瀬さんは、現代詩と短歌といった、ジャンルとジャンルの関係のなかでことが論じられるとき、口語の短歌やネット関連の活動など、短歌の側の対象範囲が限られがちなことに、「見えない枠」を感じるという。「短歌界で本格派として顕彰される歌集が、こういう場で語られる事はかえって珍しい」とも述べている。念のために記しておくが、ぼくが口語の短歌について書いたのは、編集部からの依頼の内容が、口語の短歌に限定されていたからである。
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黒瀬珂瀾さんが言うように、ジャンルを超えた場で語られる対象が、限定的になる傾向は、解消可能だとしたら解消されてほしいとは思う。ただ、黒瀬さんが言う「本格派短歌」なるものがあるとしたら、それがどんなものなのか、少し具体的に語る必要があるのではないだろうか。そもそも、ジャンル内においても、本格派という以外の属性の薄い歌集は、書評欄や賞などで顕彰されることはあっても、それ以外の場、ことに状況論の場で、とりたてて論じられることは少ない。規則や格式をまもる、基礎的な力が高くて策を弄したり技巧に頼ったり奇を衒ったりしない、という意味での本格派は、好まれはしても、状況論の俎上にはのせにくいものだろう。
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きょうの一首。なんとなく。
なんとなく値段をつけて見る雲の六万弗のきれはしがゆく/荻原裕幸
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Comments
通りすがりに失礼します。
書の井上有一、華の勅使河原蒼風、美術の村上隆、
果ては演歌のジェロに至るまで(?)、
ジャンル外から注目される人はいつもジャンル内では異端というか、
要は「エッジが立ってないと垣根の外からは見えづらい」
ということではないかと思います。
Posted by: さいーど | May 17, 2008 at 08:22 AM
さいーどさん、こんにちは。
ご意見ありがとうございました。
どのジャンルにあっても、
外からめだってしまう作家、
逆に、外からはめだたない作家、
どちらも微妙なところがあって、
それらを綜合して状況を考えるのは
なかなか難しいものですね。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
Posted by: 荻原裕幸 | May 18, 2008 at 03:34 PM
「編集部からの依頼の内容が、口語の短歌に限定されていた」のだろうな、とは思ってました。一応、その旨の一文を埋めておきましたが、もうすこし明確に言ったほうがよかったですね、失礼しました。
Posted by: からん | May 19, 2008 at 05:11 PM
からんさん、こんにちは。
コメントどうもありがとうございました。
気遣いいただいているのは感じましたが、
なんとなく反応してしまいました。
「単に紹介されるだけに終っている」
と指摘のあったところについては、
いずれあらためて書いてみようと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
Posted by: 荻原裕幸 | May 25, 2008 at 11:57 AM