2008年5月17日(土)
昼間、机に向かっていると、何種類もの鳥の声が聞こえる。何の鳥か、わかるものがあまりにも少ないので、気まぐれに、鳥の声を集めたサイトをひらいて、聞き比べてみようとしたのだが、聞いているとすぐに、サイトの鳥の声と外の鳥の声と、どれがどれだかわからなくなって混乱してやめた。静かなときに、まず鳥の声を覚えるところからはじめた方がよさそうだ。
★
窓のそとに木や空や屋根のほんたうにあることがふと恐ろしくなる/石川信雄
第一歌集『シネマ』(一九三六年)に収録された一首。「窓のそと」が、一瞬、社会的な現実に対する恐怖心を思わせるが、これは、存在そのものに対する純然たる畏怖を言っているようだ。人間的な理解の及ぶ意味や根拠とは無関係に、事物がただそこに存在する、という事態に畏怖しているらしい。実感としては掴みにくいが、ただそこに存在するもののなかには、そう思う「私」も含まれるわけで、そこに畏怖の源があるのだろう。モチーフの重さを削ぐような、「ハイカラ」でどこかのんびりとした語感に、いかにもこの時期のモダニズムの匂いがある。是非のわかれるところか。
★
きょうの一首。そんな人を見てそんな人になりたいと思いながら。
深刻なことをさうでもなささうにしづかな沼の眼をして話す/荻原裕幸
TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40919/41262904
Listed below are links to weblogs that reference 2008年5月17日(土):
Comments