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July 17, 2008

2008年7月17日(木)

ほぼ終日、どこかで蝉の声がする。ほとんどは油蝉、ところどころ熊蝉、その他はまだ確認できていない。大リーグの野茂英雄投手が現役引退を表明したという。凄いことを成し遂げた人の引退はさみしくもあるが、この数年の苦渋を想像すると、どことなくほっとするような気分にもなる。夜、この話題でアクセスが集中したのか、公式サイトになかなかつながらない状態が続いていた。

 何にでも触れてゆく子や雲の峰/対中いずみ

第一句集『冬菫』(二〇〇六年)に収録された一句。こどもの旺盛な好奇心が、つぎつぎに情報を吸収しようとする姿は、見ていてかわいらしくもあるが、同時にはらはらすることも多いだろう。文字通り何にでも向かってゆくわけで、快か不快かとか安全か危険かとかの事前の判断がそこにはない。入道雲の下で、そんなこどもの姿を見ながら、ほほえんだり、やれやれと思ったり、ときに叱ったり、あるいは自身のこどもの時分をふりかえったりする母の姿が浮かんで来る。この句集を読んでいると、静かな時間、というものがからだのなかを通り抜けてゆくような感覚に出逢うことができる。他にも好みの句を引用しておく。

 花野から帰りし顔のままでゐる/対中いずみ
 かなかなや水減つてゐる硝子壜
 とほくまでゆく秋の靴そろへけり
 さきほどの冬菫まで戻らむか

きょうの一首。マドラーやスプーンの音に比べて、あれはどうも力が抜ける。

 ストローで何かをまぜるたよりなき音がして夏がゆるく傾く/荻原裕幸

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