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October 30, 2008

2008年10月30日(木)

午後、家人と所用で出かけた流れで、近所の某喫茶店に入る。五年ほど前、オープン直後に一度だけ入ったことのある店で、その後、なぜか行かなくなっていた。なぜ行かなくなったのか、二人とも理由を忘れていた。ぼくは珈琲を、家人は珈琲ではない飲みものをオーダーする。珈琲を飲みはじめたところで、家人が、何かを思い出したように、おいしい? と妙な表情で訊く。かなりしっかりした味だったので、おいしいと答える。家人は、この店に来なくなった理由は、ぼくがおいしくないと言ったからだったと言う。味覚に自信があるわけでもないし、おいしくないとはっきり言うのは、よほどおいしくないときだけなんだけど。不思議だ。

 旅なんて死んでからでも行けるなり鯖街道に赤い月出る/吉川宏志

第三歌集『海雨』(二〇〇五年)に収録された一首。歌集の配列から考えると、老いた祖父に向けてのメッセージ、または、自身に言い聞かすことば、として書かれたもののようだ。吉川さんの文体は、文語と口語の混ざり具合に特徴がある。一般に、混ざった文体の人は、なじませようとするせいか、文語感も口語感もどちらも薄くなる傾向があるものだが、吉川さんは、どちらも濃いまま混ぜてしまうことが多い。だからたとえば、この「なり」で躓く。「キテレツ大百科」のコロ助みたいだと思う。一首のモチーフに即して語が適切に選ばれているとは言いにくいところがある。それにもかかわらず、この歌は、吉川宏志が書いている、という感覚を、意外なほど強く与えてくれる。無意識的に出て来た文語ないしは口語、という感じがなくて、あえて混合して構築した文体だとはっきりわかるからだろうか。

きょうの一首。

 あなたから渡されて噛むどのガムもほどよく雑ざる冬の成分/荻原裕幸

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Comments

こんにちは。

吉川さんのおうたが…
コロ助の声でリフレインされ困ってます(笑)
15.16日と吉川さんとお会いするのですが…
コロ助の顔がチラついて…吹き出したりしたら…
どうしょう(汗っ)

Posted by: かや | November 03, 2008 at 01:34 PM

こんにちは。急に寒くなりましたね。

コロ助で、思い出したのですが、全く同じことを大辻隆弘さんが書かれていますね。

http://6060.teacup.com/otsuji/bbs?OF=35&BD=4&CH=5

荻原さんはモカテイストの珈琲が好みみたいですが、ぼくは酸味の強いブラジル系が好きです。オギとハギの違いですかね(笑)

Posted by: 萩原健之 | November 03, 2008 at 09:25 PM

かやさん、こんにちは。
いやいや、これ、
コロ助云々は、
ギャグで書いたのではなくて、
真面目に書いたのですが。
まじめだからおかしいのかな。

Posted by: 荻原裕幸 | November 11, 2008 at 09:46 PM

萩原健之さん、
大辻隆弘さんの件、
ご紹介ありがとうございました。
そう言えば、歌会とかシンポとかで、
文語と口語の混淆文体について、
二人でこれを言ったことがあるような気がします。

珈琲、ブラジルも好きですが、
酸味の強いブラジルは、飲んだことないです。
飲む店にもよるのかも知れないですが、
特徴を強く出さないのが特徴みたいな
そんなブラジルを出す所によくあたります。

Posted by: 荻原裕幸 | November 11, 2008 at 09:49 PM

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