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June 21, 2009

2009年6月21日(日)

夏至。父の日。きのうからリビングと寝室のクーラーが稼働している。気温が下がると、と言うか、湿気が少なくなるとこんなにも快適なのかと一年ぶりに実感する。午後、栄の愛知芸術文化センターへ。未来短歌会の有志が企画した、野口あや子さんの第一歌集『くびすじの欠片』(短歌研究社)の読書会に参加。参加者は25人。白熱した会となった。

読書会は、堀合昇平さんと森井マスミさんの詳細なレポートからはじまる。大辻隆弘さんが司会進行をつとめて、著者をのぞく全員から意見を訊くスタイルだった。著者の人柄によるものなのか、かなり優しい意見が多かったように思う。読書会とか批評会よりは出版記念会によく似た空気が流れていた。ただ、作品を読解することについては、参加者のほとんどが丁寧に意見を述べていて、いろいろ教えられるところが多かった。堀合さんのレポートでは、宮台真司や大澤真幸が提示した現代の論理的枠組のなかに、野口あや子の作品を置いてみるとどうなるか、といった、結論を求めるよりも論理を楽しんでいるような意見が出されて、一部に反撥を招きながら、参加者たちの意見の良質な呼水ともなった。森井さんのレポートでは、一首の細部から見えて来る文体の特徴の数々が指摘された。細部を読むと、たとえば、作品に頻出する一人称の不安定性も、一人称が不安定だからそのように書かれているのではなく、一人称の不安定性を含んだ作品の是非を読者に問いかけるように書かれているのだとはっきり見えて来るようだ。

読書会でも発言したことだが、野口あや子歌集『くびすじの欠片』については、何を言ったらいいのかよくわからないところがある。一首一首のクオリティは高いし、適度にむちゃをしているし、適度に落ち着いてもいる。才能も努力も兼ね備えた優秀な新人だと感じさせてくれる。この優等生的な状況に、いずれは読者もそして作者自身も飽き足りなくなる日が来るのかも知れないが、いまはただ、この稀有な新人と出会えたことを読者として素直によろこびたいと思う。以下、同歌集から自分の好きな歌を少し引用しておく。

 振り回すコーラ缶から向日葵が咲いて溢れてとまらない夏/野口あや子
 校庭を染める夕焼け とてつもなく不埒な声で君を呼びたい
 水たまりほど薄いわがちちふさにてのひらてのひらてのひら揺れる
 伸びきった母の下着がベランダに吊られおりたまにつらいと告げる
 口内炎かわされながらしてるキス 嫌だったずっとずっと嫌だった

きょうの一首。

 食べてゐるのか見せてゐるのか桜桃のひかりを一つ口にはこんで/荻原裕幸

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