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December 29, 2009

2009年12月29日(火)

早朝、冷えこんで、冬の底にすべり落ちてゆくような感じがひろがる。午前、家人とともに実家の父母に顔を見せに行く。お茶を飲みながら談笑。下ろす機会のない、と言うか、息子たちに使わせようとしていた食器類がいろいろあって、気に入ったものを貰う。瀬戸物の他に、穀物とか果物とかも貰う。洗車をしたり買い物をしたり、済ませるべきをいくつか済ませてから帰宅。

 殺さないでください夜どおし桜ちる/中村安伸

合同句集『新撰21』(邑書林)に収録された「機械孔雀」百句の一句。夜桜、と言うか、深夜から未明の桜である。窓から見えるのか、徘徊して見たのか、いずれにしても、見るたびに散っているわけだ。散る時期の桜が散り続けていることは、不思議でも何でもないのだが、「夜どおし」の一語は、桜が全力で散り尽くそうとする、あの感じを巧く増幅して伝えている。昼の桜では、どれだけ烈しく散ってもこの感覚は得られないだろう。「殺さないでください」は、そんな深夜の桜の全力感から書き手が聞きとった桜の悲鳴のようなものだろうか。美しいのが問題なのでしょうか、それならこんなものはすぐにでもすべて散らせてしまいますから、どうか殺さないでください、という、自意識過剰で被害妄想的で必死で、しかもどこか滑稽でさえある桜の声が聞こえて来るようだ。百句から他にも惹かれた句を引いておく(現代仮名遣いの句と歴史的仮名遣いの句があるが、句集の表記そのままである)。ブッキッシュであることが少し安全装置のように作用してしまう面も感じられたが、最終的にはそれを気にさせないだけの秀抜なセンスがあると思う。

 春風や模様のちがう妻二人/中村安伸
 夏草に滅ぼされたる草の基地
 歩きだす椅子歩き出さない冬の猫
 子宮からつづく坂道春は昼
 若草や壷割るやうに名を告げし
 花は葉にラジオのやうな名古屋城

きょうの一首。

 真冬だが死語のはずだが勇気といふことばがやつて来て耳を噛む/荻原裕幸

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