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August 30, 2010

2010年8月30日(月)/超演算的経験則

第23期竜王戦挑戦者決定三番勝負第二局。久保利明二冠のゴキゲン中飛車から急戦模様になる。久保二冠に有利に駒が捌かれてゆく展開と思っていたところ、互いに飛車を持駒にしたあたりから、一転して羽生善治名人優勢の状況が見えて来る。どこでどう形勢に差が生じたのか、プロ棋士にも見えづらかったようだ。将棋の頂点にいる二人が、大局観という超演算的経験則を指手に援用すれば、おのずとそうなるか。優勢をそのまま維持して羽生名人が二連勝。渡辺明竜王への挑戦権を獲得した。

 詩は人をある風景のなか、ある地平のうえに立たせ、その構図の全体によって何かを語ろうとする。そこに立つものが一人称であろうと三人称であろうとこのことは変わらないと思う。だが短歌は景物や概念や理念を、それを見たり、口にしたり、考えたりしている人の身体へと引き寄せて行き、最終的にひとりの人間の姿をイメージのなかに立たせることができれば、表現として完結するように思える。たとえそうした身体そのものが何かの比喩であり寓意であるとしても。/瀬尾育生

詩論集『あたらしい手の種族』(一九九六年)に収録された、岡井隆の詩論を論じた文章「言葉のなかに姿として」の一節。岡井隆を語るため、瀬尾育生にしてはかなり無防備な筆致、ざっくりとした感じで、現代詩と短歌とを比較した箇所であるが、こんなにすっきりと腑に落ちる比較は、他では見たことがない。フォルムの差異から出発する比較論では、これほどわかりやすくシンプルなことでさえ、容易には手の届かない遥かな場所に遠ざかってしまうのが不思議だ。

きょうの一首。

 傷みはじめか熟れてゐるのか赤札の桃の皮なめらかに剥がれて/荻原裕幸

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Posted by: bath | September 20, 2015 at 05:53 PM

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