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September 03, 2010

2010年9月3日(金)/はかなきもの

午後、栄のスカイルへ。朝日カルチャーセンター「はじめての短歌」。きょうの出席者は13人。詠草は14首。題は「音」。地下鉄駅の大須観音から一字を貰った。いつもの通り、一首ずつその場で読み解きながら、添削的な批評を進めてゆく。なにかにつけて明るい笑い声の広がる教室で、講座が終って、抱えていた疲労がすっきりするということがある。きょうはそんな日だった。講座後、小腹が減ったので、寿がきやでラーメンを食べてから帰る。

 朝顔をはかなきものと言ひおきてそれに先だつ人や何なる/慈円

慈円の家集である拾玉集の一首(引用は孫引きにつき、乞御寛容)。古典にあらわれる「朝顔」が、現在で言うところの何の花にあたるのか、諸説があるそうだが、「はかなきもの」とあるので、とりあえずあの朝顔を思い浮かべて読んでも、さほど大きな歪みは生じないだろう。朝咲いては夕べに萎む花を儚いと言っておきながら、その朝顔を遺して先立つとは何たる儚さだろうか、といった歌意と、どこかしら散文的な雰囲気もある調べは、近代か現代の人が書いたと言ってもそのまま通りそうな印象がある。この「人」は人間全般を指していそうな気もするが、現在の感覚で読むとどうしても、あの人、といった感じの、特定の誰かを指しているように読める。遺された朝顔を眺めながら故人を偲んでいる場面が連想されるのである。

きょうの一首。講座で「音」の題の作例として見せた一首。生活音は人の心情を反映するもので云々と力説したら、何やら笑われてしまった。

 機嫌はやや上向いて来たか比較的佳き音がする妻のあけくれ/荻原裕幸

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