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November 13, 2010

2010年11月13日(土)/次女の夫

薄曇りが続く。夕刻、帰国している義父を囲んで、義母と義姉と家人と五人で食事をした。義父は、話す機会が少ないせいか、次女の夫である自分と話すことを、どことなく苦手にしているような印象がある。ただ、きょうはなぜか話が弾んでいた。男親にとって次女の夫というのがどんな存在なのか、自分には想像する手がかりがほとんどないわけだが、とりたてて嫌う理由はないとしても、好ましい存在である可能性はあまり高くない気がする。

 まだ部屋のどこかを泳ぐたましいのあかい金魚に水槽を買う/青柳守音

昨日に続き、第一歌集『眠りの森』(一九九八年)に収録された一首。縁日か何かで手に入れた金魚を、ありあわせの器に入れて飼っていたのだろうか。それがすぐに死んでしまって、成仏できず、魂がいつまでも部屋のなかをただよっている感覚が去らない。そこで、いまさらながらその金魚のための水槽を買った。そんなエピソードを思い浮かべながら読んだ。しばしば詩歌句のモチーフとなる、そこに棲むべき主の居なくなってしまった空間、たとえば、鳥の居ない鳥籠などは、哀しさや淋しさのなかにも、過去が永遠化されたかのようなかすかな明るさを含むこともあるが、この水槽はどこまでもひたすらに切ないと思う。以下、同歌集で好きな作品を、他にも少し引用しておく。

 不法駐車廃棄車両の砕かれたフロントガラスを出入りする猫/青柳守音
 金輪際逢わぬと決めて背を向けるはずみに骨の鳴る音を聞く
 静かなる肩をならべて紅茶飲む篠宮夫妻にそれぞれの匙
 てがみには余白があって逢うときの気温は摂氏三十六度
 真夜中に湯ぶねのしたのほそい管つたって消える水音を聞く

きょうの一首。

 何を植ゑてあるのかがよくわからない鉢ならぶ暮早きベランダ/荻原裕幸

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Comments

青柳守音さんのうたのご紹介ありがとうございました。
これから歌集を探してみます。

Posted by: 声 | November 29, 2010 at 01:06 PM

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