« 2010年11月13日(土)/次女の夫 | Main | 2010年11月15日(月)/七五三 »

November 14, 2010

2010年11月14日(日)/巷を走る

大相撲九州場所がはじまって白鵬が初日白星で六十三連勝したとか、バレーボール世界選手権で日本女子が三十数年ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得したとか、その他もろもろスポーツ関連のニュースがやけによく流れる日だった。映像を見ていて自分も少しからだを動かしたい気分になる。そう言えば、このところ、巷を走る人、いわゆるジョガーを頻繁に見かける。みんなかなりのスピードで走っている。以前は誰もがもっとゆっくり走っていたような気がするのだが。

 そしてわたしは言ったのだ
 あなたの伏せられた長い睫毛に向かって
 あなたのために何もしてあげられなかった日々の記憶が
 わたしを蝕み泣かせるときにも
 わたしたちのかなえられなかった願いをその木に託し
 いつまでも覚えていられるように
 わたしたちの別離のためなどでなく
 わたしたちの出逢いのその尊さのために
 その尊さのためだけに
 声を出さずに言ったのだ
 帰還せよ 静かに未知に 帰還せよ…/渡辺めぐみ

第三詩集『内在地』(思潮社)に収録された「未済」の末尾。「未済」は「スパイラル」と題された、九篇で構成される連作詩の最後に位置する作品である。ここだけを読むと、あなた、と、わたし、との関係が、見えそうで見えない。しかし、見えそうで見えないのは、ここだけの話ではない。この連作、全体を読み終えても、二人がどのような社会的関係にあるのかがはっきりしないのである。あなた、は、恋人や配偶者のようでもあり、男親もしくは息子のようでもあり、アングルによってはわたし自身であるようにも読める。あるいは、そうした複数の表情すべてを含んだ存在だと考えて読むのが妥当なのか。誰なのかと問おうとする感覚そのものがここでは否定されているのかも知れない。やや饒舌でややリリカルな文体であるが、そうしたことばの流れを一気に堰き止める最終行の「帰還せよ 静かな未知に」が、狂おしげな余韻を残すなかで、あなた、はまた別の新しい誰かとなる機会をうかがいながら、混沌のなかに姿を消してゆく。

きょうの一首。

 けふのわたしは誰であるのか店先のポインセチアの濃く澄んだ赤/荻原裕幸

|

« 2010年11月13日(土)/次女の夫 | Main | 2010年11月15日(月)/七五三 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40919/50160889

Listed below are links to weblogs that reference 2010年11月14日(日)/巷を走る:

« 2010年11月13日(土)/次女の夫 | Main | 2010年11月15日(月)/七五三 »