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November 19, 2010

2010年11月19日(金)/器とか枇杷とか

午後、栄のスカイルへ。朝日カルチャーセンター「はじめての短歌」。きょうの出席者は13人。詠草は13首。前回の見学者に続き、また新たな見学者が1人来て、次回から正式に受講ということになるようだ。きょうの題は「器」。地下鉄駅の御器所から一字を貰った。いつもの通り、一首ずつその場で読み解きながら、添削的な批評を進めてゆく。添削的な批評は、遠慮なくかつ大胆に展開しているが、表現力が平均的に向上して、全体でその量は少し減ったような気がする。

 かたちにはならない青をあおぎ見る声に枇杷の実ふくらんでゆく/青柳守音

第二歌集『風ノカミ』(二〇〇三年)に収録された一首。歌集の配列とあとがきから推して、後に亡くなった作者の父親の入院時の作品のようだ。「かたちにはならない青をあおぎ見る声」を散文的に解釈するのは難しいが、歌集からわかる情報とことばの感触とをあわせて考えると、未来や可能性に向き合いながらも具体的な展望がきかない状況における声にならない声、とでも言ったらいいだろうか。声の主体が父親であるのか私/作者であるのかはわからない。たぶんどちらでもあるのだろうし、もう一歩踏みこんで読めば、病気に限らず、そのような状況にある誰にもあてはまるものとしてこの比喩が用いられているように思う。実りであるはずの枇杷の成長が、容赦のない時間の経過を象徴しているのが何とも切ない。

きょうの一首。講座で「器」の題の作例として見せた一首。

 日本はつひに何も盛らずに澄んだまま静かに朽ちる器であるか/荻原裕幸

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