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November 26, 2010

2010年11月26日(金)/一九九五年

第23期竜王戦七番勝負第四局、二日目、羽生善治名人が連勝、二勝二敗とする。羽生名人の先手ではじまった本局は、角換わり腰掛け銀の展開となる。開戦後、思う様に攻め続ける羽生名人だったが、じっと守勢を維持する渡辺竜王の入玉がちらつきはじめる。渡辺竜王の勝勢かと言われるなかで、結果的に見れば攻め急ぎの一手から状況が一変、羽生名人が逆転した。星は五分、とは言うものの、このシリーズ、総じて渡辺竜王の強さが際だっている。

ここしばらく、まとめていた原稿との関連で、一九九五年という年、あるいはその前後のことを考えていた。一九九四年の終り、第四歌集『世紀末くん!』を刊行した頃から、ニューウェーブと呼ばれていた何かが、自分のなかで決着したのをぼんやりと感じていた。完遂したのか、限界が来たのか、たぶんそのどちらの要素も少しずつ含んでいるのだろうが、これ以上同じ方向に進むのは無意味だ、と感じたのだった。作家は結局処女作に帰るとか、前衛的作家の伝統回帰とか、そうした流れのなかに自分も飲みこまれるのだろうかと考えながら、過去に縛られずに過去を捨てない、という姿勢だけは崩さないようにと心に決めていた。未刊のまま、二〇〇一年時点での全歌集『デジタル・ビスケット』に収録した第五歌集『永遠青天症』の、一九九四年から一九九五年にかけての作品に、自分としては珍しく詞書を執拗に付したのは、方法論の一つである他に、たぶんこの時期の、よりどころのない感覚が大きく作用したのではないかと思う。

きょうの一首。

 これと言つて求める何もない秋の図書館の深くまで来て戻る/荻原裕幸

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