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October 26, 2012

2012年10月26日(金)/彷徨歳歳

少し遠い場所から帰って最寄りの地下鉄駅で降りると、強烈な木犀の香りが迎えてくれた。木犀の香りに慣れると、次はわが家周辺の香りとでも言うべき香りがするのに気づいた。ふだんは意識していないのだが、ふだん、の嗅覚が何らかのかたちでリセットされるとやって来る香りだ。樹木と土とあと何か懐かしさのようなものが雑ざっている。珍しい香りではないのだろう。ただ、そのブレンドの塩梅が、他ならぬここであることを教えてくれる。ただいま、と誰にともなく小さな声で呟いてみた。

マンガ家の佐藤秀峰さんのツイッターを読む。某テレビ局に対して怒りをあらわにしたことが、ものすごい反響を呼び、そのことに少し戸惑ってはいるようだけど、外見上はほとんどぶれもなく呟き続けている。有名税というのは、累進税のきわみのようなもので、佐藤さんの場合、相当な負担になろうかと思われるのに、あまりにも颯爽としていて、読んでいて目眩がしそうだ。

きょうの一首。歳をひとつとったという以外に何をどれほどと言えるだけのものをプラスすることができたのか。そういう類の焦りは、十代の頃からずっと続いている。これからもまだ続くのだろう。ことに秋から冬にかけては、季節感とこの焦慮感とが一体になってやって来ることが多いように感じる。

 去年のわたしに何をどれほど加へたか木犀の香りのなかをゆく/荻原裕幸

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