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November 19, 2012

2012年11月19日(月)/音符逍遥

きょうは同朋大学の文章表現の講義の日だった。キャンパスを出てすぐのところに、楽譜を読みながら歩いている女性がいた。たぶん、隣りの名古屋音楽大学の関係者なのだろう。専門家が楽譜を読めるのはわかるのだけれど、歩きながら読んでいる人ははじめて見た。なんか凄いなと思う。私だって歌集や句集ならそれなりに読めるが、それにしたって歩きながらは読まない。あれは、アイポッドで曲を聴いているような感覚なのだろうか。

 アマリリス涎の行方など知らぬ/渋川京子

週刊俳句編の『俳コレ』(二〇一一年)に収録された一句。単行の句集に収録されているかどうかは未確認。アマリリスが咲いている=夏、という以外の手がかりがないので、涎が誰のもので、どんな状況で生じたのか、さっぱり見当がつかない。一人称自身かも知れない。嬰児か乳児かも知れない。看護か介護を要する人かも知れない。「など知らぬ」と言うからには、本来は「行方」を気にすべき涎なのか。アマリリスとのとりあわせを思うと、生活感よりも美的な世界に結びつけたいという意識が見えるが、そうであれば、実際には生活感の強い育児や介護の一場面を思い浮かべるのが妥当か。しかし、一句にはそれだけでは解決しない何かが含まれている気もする。異端的鑑賞を好む私は、植芝理一『謎の彼女X』のような世界を連想したりもしたが、さすがにそれはないか。いや、どうかな。

きょうの一首。籠の鳥ということばを聞いて、私がまずイメージするのは檸檬色のカナリアだが、それはたぶん、映画やテレビドラマのヒロインが、この鳥に、おまえも籠から出たいのかい、などと語りかけるシーンを繰り返し見て来たからだろうと思う。物語の結末はつねに悲劇と決まっていた。

 そこを出てもつまりは空を出られないカナリア冬の籠に囀る/荻原裕幸

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