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November 20, 2012

2012年11月20日(火)/芳香凶悪

私は喫煙者なので、他人の匂いにはおのずと寛容になる。なるのだが、その限界を軽々と超えてしまう匂いというのもときどきはある。夜、矢田の星乃珈琲店にいたとき、隣りのテーブルから凄まじい香水の匂いが押し寄せて来た。見たところ二十歳前後の、小綺麗にしている女性二人だが、控えめに推定してみても、半径五メートル圏内は、誰もが飲食不能状態だったのではないか。汗をかかない冬場の香水は、素のままで、匂いがきつくなる。私はそれが嫌いではないけれど、さすがにこれはどうかなと思うレベルだった。

 つくし煮るどの時間にもつながらず/渋川京子

再び、週刊俳句編の『俳コレ』(二〇一一年)に収録された一句。単行の句集に収録されているかどうかは未確認。春の、夕暮だろうか、夕餉のための煮炊きをはじめたところ、没頭するうちに、目的に向かう意識が薄らいで、土筆を煮ることが、純粋な行為としてそこにあるといった感じか。「どの時間にもつながらず」という把握が卓抜であり、秀句だと思う。人間の意識は、体験した過去か日常的な現在か予測できる未来のいずれかにつながろうとする。無関係には生きられない。ここでは、意識と時間とのつながりがわずかに緩くなる瞬間が捉えられている。土筆を煮る人の姿が、一切の関係性を断った場所に、単独で浮かびあがるのが、何とも言えず麗しい。

きょうの一首。以前は静電気など気にとめたこともなかったのだが、いつからかときどき、主に冬場に、物に触れた瞬間、痛みをともなったり、ほのかな火花が見えたりするようになった。年齢による体質の変化が原因とか言われると嫌だけど、やはりまあそういうことかも知れないなと思わないでもない。

 どこにでもゐるひととして短日に静電気などぱちぱちさせて/荻原裕幸

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