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November 25, 2012

2012年11月25日(日)/1Q70

三島由紀夫忌。私には、一九七〇年十一月二十五日の、いわゆる憂国忌をめぐる一切の記憶がない。当時、私は八歳だったはずで、何か少しくらいは記憶していても良さそうなのに、一切ないのである。ふん、それがなんだ、とは思うものの、劣等感に似た何か軽い悔しさのようなものがあって、憶えていたら何か良いことがあったのではないか、などと変な気分になることがある。

村上春樹『羊をめぐる冒険』(一九八二年)の冒頭に、一九七〇年十一月二十五日の記述が出て来る。わざわざ日付を明確にしたのは、三島由紀夫を意識しているからに違いないし、そこには「ラウンジのテレビには三島由紀夫の姿が何度も何度も繰り返し映し出されていた」というくだりもある。しかし、そうまでして三島を引き寄せておきながら、語り手の「僕」は、小説の本筋とは関係のない「どうでもいいことだった」と言っている。仮に私が当時二十歳前後であったら、たぶん似たような態度をとったのではないかと思う。関心がないわけではないけど、正面から関わる気にはなれない。いや、正確に言うと、気になって仕方がないのだけど、近づきたくはない、だろうか。この奇妙な感覚は何なのだろう。

きょうの一首。読み直してみると、やはり私の居場所を明示すべきか、とも思うのだけれど、実は、それを外してはじめて一首としてそれなりに成立するような気がしてこのかたちになったのである。口語体あるいは散文体は、歴史的な蓄積がないだけに推敲で判断を誤りやすく、どうしようもない大失敗になるリスクも高い。いつも書いていてどきどきする。

 明るくてかげりがあつて十二月が近づいてゐて誰もゐなくて/荻原裕幸

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