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November 04, 2012

2012年11月4日(日)/飛行少年

昨日、父を送って護国神社に行く。軍人、細かく言えば、陸軍少年飛行兵出身の下士官だった父は、同じ少飛出身の戦没者の慰霊の集会につねづね出席している。慰霊のためではあるが、実質的には飛行学校の同窓会でもあり、そこにイデオロギーの匂いはしない。折角の機会なので、父たちが建立した慰霊碑を見せてもらった。少飛の一人が所有していた、戦闘機のプロペラの一部をあしらったデザインは、不思議なことに、戦中や戦後の印象からは程遠く、建立した一九八〇年代の何かを象徴しているように見えた。

短歌誌「幻桃」十一月号が届いた。昨夏から同誌に「短歌のふしぎ」と題したエッセイを連載している。今回で八回目の掲載となった。各回四百字七枚半ほどの分量で、短歌について、私の気の向くままに雑談的な文章をまとめさせてもらっている。読みやすいものを、ただし、あくまでも短歌について、という編集サイドのリクエストに応じて、それなりに楽しみながら書いている。短歌のしくみ、と呼べるほど論理的に書き切れないので、短歌のふしぎ、とタイトルを付けた。今回は、岡井隆さんと小池光さんの各一首をめぐって、短歌が作品として成立する要件について言及している。

きょうの一首。父は、話すと饒舌で声の大きい人なのだが、対面したまま長時間対話がなくても平気な人である。一般に、沈黙は不安をかきたてるので、その間を埋めるように、人は、不自然なまでに饒舌になるものだ。私も、相手が他ならぬ父でなければ、この沈黙の間は苦しいだろうなと思ったりする。

 卓の上の葡萄の声が聞きとれる静けさに包まれてしばらく/荻原裕幸

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