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December 05, 2012

2012年12月5日(水)/極月五日

早朝、日々更新される「新・増殖する俳句歳時記」を開いてみると、私の俳句が紹介されていた。感謝。きょうの筆者は八木忠栄さん。ちょっと浮かれた気分になる。夜、ひさしぶりに伏見周辺を歩く。しばらく見ない間に、街の表情がかなり変っていた。そのむかし、朝日新聞名古屋本社でアルバイトをしていた頃、この界隈で飲みかつ遊び歩いていたのを思い出す。そう言えば、湾岸戦争がはじまったときも、伏見の居酒屋でそれを知ったのだった。

 ぐちやぐちやつと咲いとけば大丈夫なんだつて顔ほぐしゆく朝顔に云ふ/藪内亮輔

短歌同人誌「率」第二号に掲載された連作「適当な世界の適当なわたし」三十九首のなかの一首。書くという行為に対するメタ意識を見せながら書く、そんな屈折したパッションのようなものが漲っている興味深い連作で、そこから推し量ると、これは、一首まるごとメタファかアレゴリーとして書かれた作品かも知れない。しかし、この一首は、単独で読んでもおもしろい。私には、初秋の未明、咲きかけた朝顔に向かって、口調はちゃらいが真顔で語りかける人物のリアルな姿が目に浮かんだ。朝顔への語りかけは、つまりは自身への語りかけなのだろう。私の内面が私の内側ではない場所にあり得る奇妙な事態を巧みに捉えていると言えようか。日常的な情景や感覚をこれだけ活写できる力があれば、それ以上の主題が直接的に作品の表面に出ていなくても、十分に世界を相手にできる、という好例かと思う。

きょうの一首。わさびがききすぎといったような身体的な刺激を除けば、私の流す涙のほとんどは、瞬時には整理できない感情の束のようなものがひきがねになっている気がする。人の死をめぐって泣くときも、悲しいとか淋しいとか感情がはっきりしたかたちになると、不思議に、涙がとまる。

 枯菊をどこか近くで焚いてゐるのかこの涙どこから来るか/荻原裕幸

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