October 27, 2005

2005年10月27日(木)

午後、某社から電話で書評の依頼。面白そうな、でも、難しそうな本。ちょっと考えこんだが、ひきうける。俵万智さんの歌集『プーさんの鼻』(文藝春秋)が届く。出産と子育てをメインモチーフにした歌集というのは、かなりたくさん読んだけれども、こんなにほほえましい気分になるのははじめてか。哀愁はあっても憂鬱がない。作者の個性、と言うよりは、方法論に近いものなのだろう。単純に表現史のコンテクストにのせると批判のポイントも多く見えるが、この徹底したほほえましさの世界は、そうした批判の埒外にあるのかも知れない。少し時間をかけて考えてみようと思う。

ぽんと腹をたたけばムニュと蹴りかえす なーに思っているんだか、夏/俵万智

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October 22, 2005

紙ピアノの鳴る夕べ pieces of voices

伊津野重美さんの第一歌集『紙ピアノ』(風媒社近刊)の刊行を記念して、
以下のイベントが開催されます。ご来場いただけましたら幸いです。

【日時】2005年10月22日(土)17:00開演(16:30開場)
【会場】LAPIN ET HALOT(ラパン・エ・アロ)
    東京都渋谷区神宮前5-44-2
    電話03-5469-2570
    ※地下鉄銀座線・千代田線・半蔵門線表参道駅A1、B2出口徒歩5分
    http://www.lapin-et.com/about/
【朗読】飯田有子、佐藤りえ、田中槐、東直子、広田栄美、穂村弘、伊津野重美

【料金】前売2,300円/当日2,500円 ※前売予約は10月20日まで
【予約・問い合わせ】officePigeonblood@hotmail.co.jp
※小学生以下のお子様のご同伴はご遠慮下さいますようお願いいたします。

【企画・制作】pigeonblood
【写真】岡田敦
【協力】荻原裕幸
※詳しくは、http://homepage2.nifty.com/paperpiano/をご参照下さい。

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May 15, 2005

2005年5月15日(日)

きのう、高木孝さんの第一歌集『地下水脈』の批評会で上京。参加者は30名ほどだったかと思う。田中槐さんの司会で、快く話のできる会だった。ぼく自身は栞文の範囲を超えない意見しか出せなかったが、この歌集の過剰な多様さにとまどいをおぼえる人が多かったようだ。編集的な見地からするとどうかという質問を田中さんからふられて、一冊のテーマかコンセプトをもう少し見えやすくするように勧めると答えたところ、実際の編集者の柳下和久さんも同じことを勧めたと言っていた。高木さんがそれを拒んだというのは、明確な考えに基づいてのことだとは思うが、多少計算違いがあったんじゃないかと感じたのは、高木さん自身がオペラではなく交響曲のようにまとめたかった、と言っていた点である。凡庸な筋書き/フレームをあえて利用した方が、読者は交響曲を聴くように、意味にこだわらずにすらすら読んでくれるものではないだろうか。筋書きやフレームを見せないようにすると、読者はかえってそこにこだわり、迷宮的状態に陥りやすい。音楽では意味が邪魔になるかも知れないが、文字表現での意味は、それが凡庸であればあるほど意味をなさず、むしろすらすら読める気がする。深夜、帰名。日帰りでの東京はなかなかきついものがある。きょうもまた仕事をしながら疲れをとるという事態になった。

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May 14, 2005

高木孝第一歌集『地下水脈』批評会

高木孝さんの第一歌集『地下水脈』(北冬舎)の批評会、
パネラーとして出演します。よろしければご参加下さい。
じっくりと議論のできる場となりそうなので楽しみです。

【日時】2005年5月14日(土)13:30〜17:00(開場13:00)
【会場】日本出版クラブ会館
    東京都新宿区袋町6 電話03-3267-6111
【パネラー】日高堯子、荻原裕幸、田中槐、斉藤斎藤
【参加費】2,000円
【事務局】杉野浩美(su-hiro@mte.biglobe.ne.jp
【発起人】荻原裕幸、田中槐、柳下和久、秋元千恵子

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April 26, 2005

「短歌」5月号に執筆

角川書店「短歌」5月号が届いた。特集は「栗木京子」。「愛誦性を超えて−栗木京子の言葉の位相」と題して400字×10枚を執筆。『水惑星』『中庭』の作品を中心に、ことばをめぐる栗木さんの方法意識について、感じていることをシンプルにまとめてみた。

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April 21, 2005

「Judy」6月号に執筆

小学館の女性向けコミック誌「Judy」6月号が届いた。「表紙の短歌」の選および解説コラム「三十一文字のJudyたち」の掲載第一回目である。今回は五十嵐きよみさんの第一歌集『あなたに似た人』から「まっさらに戻って一から始めたい他人の記憶の私を消して」を紹介した。

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March 28, 2005

2005年3月28日(月)

日曜、午前、上京。品川で新幹線を降りて、池袋・東京芸術劇場へ。斉藤斎藤さんの第一歌集『渡辺のわたし』の批評会。参加者は約140人。佐藤りえさんをはじめとした「短歌人」の有志の運営で、にぎやかな場が準備された。岡井隆さん小池光さん穂村弘さんによる鼎談は、100人を超えるイベントだということをまったく意識していないような「玄人向け」の内容で、目が笑ってないどころか、ほんとに笑い一つ見せなかった穂村さんが、自身の意識する現代短歌の焦点に岡井さん小池さんを誘いこむハンドリングに感心した。一方、岡井さん小池さんは、終始笑顔を絶やさないおだやかな話ぶりだったが、斉藤さん自身も斉藤さんの支持者も気づかないような盲点的な示唆をいくつも出していたと思う。良質の鼎談になるのは予想されたことだが、少なくともぼくの予想をさらに上回る良質さだった。懇親会も約80人で異常なほどのにぎわいを見せていた。最終の新幹線で帰名。きょうは、終日、メールの対応と原稿。東京から日帰りした疲れが残っているせいか、いつも通りと言うべきか、もろもろがなかなか思ったように進んでくれない。ねじをまきなおさなければ。

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「現代詩手帖」4月号に執筆

「現代詩手帖」4月号が届いた。短歌時評「うたの凹凸」の二回目。「女歌の時代が残したもの」と題して、400字×3枚を執筆。青幻舎から刊行された『永井陽子全歌集』を題材に、永井陽子的な女歌の文体と現代の自己像をめぐる不全感の強い文体との酷似について言及した。

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March 27, 2005

斉藤斎藤第一歌集『渡辺のわたし』批評会

斉藤斎藤さんの第一歌集『渡辺のわたし』批評会に出かけます。
人を食ったおもしろさや意外なまともさが話題になりますが、
歌集全体を読むと一体どういうことになるのか楽しみです。

【日時】2005年3月27日(日)13:30〜17:00(開場13:00)
【会場】東京芸術劇場・大会議室(池袋駅西口から徒歩5分)
    東京都豊島区西池袋1-8-1 電話03-5391-2111
【出演】鼎談=岡井隆×小池光×穂村弘

【出版記念パーティ】17:30〜
 パーティ&レストラン パサル
 西池袋3-25-13リバーストンビルB1 電話03-3971-6660

【参加費】批評会=1,500円、パーティ=4,500円
【参加申込・問い合わせ】
 花笠海月(info_clerk@yahoo.co.jp)宛にお願いします。
 氏名、所属、批評会・パーティの各出欠を明記の上、3月15日(火)までに。
※メールの件名は「渡辺のわたし批評会」として下さい。

【発起人】蒔田さくら子、奥村晃作、中地俊夫、石井辰彦、荻原裕幸
【運営】短歌人若手有志の会
※詳しくは、著者サイト「私にはその価値があるから」をご覧下さい。
※歌集『渡辺のわたし』については、歌葉の紹介ページをご覧下さい。
※ogihara.com内での同歌集の紹介は、→こちらをご覧下さい。

●当イベントの受付はすでに終了しております。

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March 25, 2005

2005年3月25日(金)

電話が鳴る。電話をかける。電話が鳴る。話している最中に携帯電話も鳴る。電話をかける。ファックスが来る。電話をかける。電話が鳴る。という感じで時間が過ぎていった。メールのやりとりが嵐のようになるのは珍しくないが、ひさしぶりにとても電話な一日だった。柴田瞳さんの第一歌集『月は燃え出しそうなオレンジ』について、一昨日、漠然とした感想を書いただけで、具体的な作品のことを書いていなかった。以下に引用するような、俵万智さんの、とりわけ硬質な部分からの影響を感じられる作品に、柴田さんの原型、あるいは、その人らしさみたいなものが見えるように思う。巧さの部分と個性とがきちんとリンクしていると言ったらいいだろうか。歌集後半に多くあらわれる、会話体を活かした作品もそれなりにおもしろかったけれど、やや性急に定型にことばを入れこんだ感触があった。自己の文体という観点を重んじるならば、以下の原型的文体をベースに会話体を活かしてゆく道筋もあるのではないかと感じたのだった。

 進路志望調査の紙を渡されて何とはなしに見る梅の花/柴田瞳
 迷いつつ行けば室蘭ナンバーの車に追い越される夏の旅
 美人なら何をやっても許される嘔吐しそうな不条理をみた
 忘我してしまいたい空 南天の紅きがそれを許しはしない
 必要がないから退化したはずの翼が疼くような三月

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