October 18, 2005

2005年10月18日(火)

午後、短歌ヴァーサスの第7号が風媒社から届く。特集は水原紫苑と第三回歌葉新人賞の二つ、刊行が遅れに遅れたが、どうにかかたちになった。すでに第8号の編集作業に入っている。詩歌誌「三蔵2」第五号を読む。巻頭の四方田犬彦さんの詩篇にいきなり打たれ、そのまま最後まで一気に読み進んだ。現代詩と短歌が混在する雑誌で、違和感がまったく生じないのは、二ジャンルを総合的に見渡すだけの企画力や構想力がそこにあるからだと思う。力の中心にいると推測される石井辰彦さんに敬服した。以下、とりわけ強く印象に残った行/首。

きみは反省しない/速度は反省などしないからだ/四方田犬彦
液化してゆくつて、何が? 涙からできてる星で、今更、何が?/石井辰彦
日だまりのどうぶつえんのライオンがめすライオンのなかにだすまで/斉藤斎藤

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September 27, 2005

2005年9月27日(火)

涼しいと言うよりも冷えた感じの朝だった。名古屋ではやっと最低気温が二十度を切ったのだという。秋の冷えこみがこれだけ遅いのは歴史的な記録らしい。加藤治郎さんの『短歌レトリック入門−修辞の旅人』と川柳作家の丸山進さんの第一句集『アルバトロス』がともに風媒社からリリースされている。加藤さんの入門は、NHKの冊子での連載時から本になるのを楽しみにしていたもので、私的な感覚で言うなら、彼の歌人としてのもっとも良い資質、新しい素材に伝統の根を見つけてそれに光を与える、が十全に展開されている。丸山さんの句集は、情念やヒューマニズムや私性といった従来の川柳の場以外のところに川柳の存在意義をしっかりと構築した楽しい作品群に満ちている。ぼくは「由緒正しいユーモア」と題した栞文400字4枚半を書いた。そう言えば、執筆メモもまとめないといけないが、それはまた後日にでも。

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March 18, 2005

松木秀『5メートルほどの果てしなさ』リリース

松木秀さんの第一歌集『5メートルほどの果てしなさ』が【歌葉】からリリースされた。312首を収録。無名的/無私的であるがゆえにそこから力づよく生じる諧謔の文体が快い。そして、ではそのように語る一人称とは何者なのかという困難な問いへのアプローチも果たそうとしている。乞御一読。ちなみに、解題は荻原裕幸が執筆した(「果てしなき自己言及に」400字×7枚)。

 秋津島ヤマトの糊は学校の工作となりて千代に八千代に/松木秀
 アメリカのようだな水戸のご老公内政干渉しては立ち去る
 かなしきはスタートレック 三百年のちにもハゲは解決されず
 輪廻など信じたくなし限りなく生まれ変わってたかが俺かよ
 「生涯独身」と「一生独身」の言わずもがなで後者のわれか

同歌集は以下のURLから入手できる。
http://www.bookpark.ne.jp/cm/utnh/detail.asp?select_id=50

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August 01, 2004

斉藤斎藤『渡辺のわたし』リリース

斉藤斎藤さんの第一歌集『渡辺のわたし』が【歌葉】からリリースされた。第二回歌葉新人賞受賞者。受賞作「ちから、ちから」等293首を収録。独特の文体で描かれる世界は、ときに爆笑を、ときに絶望的な気分を、ときに至福の時間をもたらしてくれる。乞御一読。

 ふとんからふりだしにもどる匂いがしてまた日曜の午後の陽だまり/斉藤斎藤
 うなだれてないふりをする矢野さんはおそれいりますが性の対象
 加護亜依と愛し合ってもかまわない私にはその価値があるから
 泣きやんでしまう前にとハンカチを構えていたら脛を蹴られる
 寝返りにとりのこされて浮かんでるひだりのうでを君にとどける

同歌集は以下のURLから入手できる。
http://www.bookpark.ne.jp/cm/utnh/select.asp

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大橋麻衣子『シャウト』リリース

大橋麻衣子さんの第一歌集『シャウト』が【歌葉】からリリースされた。ハードな現実を描きかつ現実を超えたところに生じた心象を、短歌のフォルムのなかに鮮やかにたちあがらせている。家庭を舞台にした、良質の連作小説を読むような味わいの340首。乞御一読。

 洗濯のかごに靴下投げ入れるつまらぬ男の理屈に飽きて/大橋麻衣子
 男から夫へ変わるその顔を遺影のごとく眺めておりぬ
 一日の大半をともに過ごす子の保護者の欄に夫の名を書く
 涙の出るうちはよかった諦めが音なく下腹部へと溜まりゆく
 はずし方わからなくなってしまったか子がいない時も母親の顔

同歌集は以下のURLから入手できる。
http://www.bookpark.ne.jp/cm/utnh/select.asp

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July 30, 2004

伴風花『イチゴフェア』好評

雑誌を繰っていたら、風媒社から5月に刊行された伴風花さんの第一歌集『イチゴフェア』の評をいくつか見かけたのでメモしておく。プロデュースした歌集に反響が出るのはとてもうれしい。結社誌「短歌人」8月号の森川有さんによるレビュー。結社誌「みぎわ」8月号の三枝浩樹さんの連載コラム「詩歌散策」。いずれも好意的な感触の評だった。「みぎわ」同号の穂村弘さんの評論「棒立ちの歌」のなかにも伴さんのスタンスについて言及がある。同歌集は書店でもネットからでも入手できる。
http://www.fubaisha.com/search.cgi?mode=close_up&isbn=2051-8

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July 23, 2004

短歌ヴァーサス4号の案内

短歌ヴァーサス4号の案内が、風媒社のサイトに掲載された。定期購読者にはそろそろ届きはじめているらしいが、各書店に並ぶのは、早いところで7月末、遅いところでは8月初旬かと思われる。明後日、25日のニューウェーブ短歌コミュニケーションの会場での販売を予定している。
http://www.fubaisha.com/search.cgi?mode=close_up&isbn=5323-8

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July 09, 2004

短歌ヴァーサス4号

予定では7月15日に見本ができあがる。風媒社から定期購読者と執筆者に発送されるのは7月下旬となりそうだ。取次を通しての全国各書店への配本は7月末頃かと思われる。4号の特集は、東直子と第2回歌葉新人賞。ちなみに、現在、5号の具体的な編集作業にとりかかっている。

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July 08, 2004

『短歌、WWWを走る。』

邑書林から『短歌、WWWを走る。』が刊行されて二か月が過ぎた。マスメディアの書評や記事でとりあげてもらったり、ウェブ上でも感想がさまざまに流れたり、多くの反響があるのを楽しんでいる。この本は、五十嵐きよみさんの企画したイベント題詠マラソン2003を母体としたもので、スタッフ・参加者・版元が一丸となってまとめた、そのエッセンスである。実際にウェブを媒体として書かれた短歌の、史上初の本格的なアンソロジーなのだ。現時点でのネット短歌への期待や批判を語るにあたって、格好の素材になると思う。

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